ブラジルより日本へ戻りし一日、乗り継ぎ含めて30時間以上のフライトで寝すぎたため時差を調整すべく深夜に帰宅してから一睡もしませんでしたが、まるで夢のような一日でした。リンゴの剪定を半日くらいした後は、余市が舞台のNHKのマッサンを、2週間分一気に見ました。ユバ農場の日系人たちも皆、時差のため現地時間では12時間遅れで放映されるマッサン(偶然とはいえ、マッサンは葡語でリンゴの意です)を楽しみに観ています。一話一話、涙が流れて止まりませんでした。戦争がどれだけ人間を傷つけたことか。人間を人間でならしめない戦争を二度と繰り返してはならならないのです。ブラジルの日系人たちも、日本政府の棄民政策と、ブラジルの国粋主義による辛い時代をくぐり抜けて来ました。そして、ブラジル人であり、日本人でもあるアイデンティティを守り続けようと必死で生きています。
マッサンを観終わった後に見たNHKニュースのトップニュースは、硫黄島の日米合同慰霊祭でした。最終的にアメリカ軍に救出された日本兵は1033名で、この戦いでの日本軍死傷者は21152名、そのうち戦死者は20129名、日本はどれだけ自国民の命を軽んじたことでしょう。このような誤った国家に、二度と戻ってはならないのです。アメリカ軍死傷者28686名、うち戦死者は6821名でした。最後の日本兵二人が救出されたのは1949年(昭和24年)元日であり、この戦いは戦争末期には珍しく死傷者の数が日本兵よりもアメリカ兵のほうが多く、また日本にとっては初めて失った固有の領土でした。そして現在もなお飛行場の冷たいアスファルトの下をはじめ、硫黄島内に眠る日本兵の遺骨は14000柱を超えているとのことです。
そして、次なるローカルニュースは、小樽や札幌で、オレオレ詐欺によって何百万円もの蓄えを失う老人が、毎日毎日後を絶たないことを報じていました。それらの老人たちを、あざ笑うことなどできません。オレオレ詐欺など、決して許されることではありませんが、だまされる老人たちは、未来ある若い者たちに、今まで蓄えてきたものを捧げようとしているのです。これは、人間として本当に尊い行為です。どうかオレオレ詐欺師などではなく、正直に生きようとしている若者たちに、それらの蓄えを捧げるようにして下さいますように。