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パリ同時多発テロに思うこと

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昨日パリで起こった世界を震撼させたテロ事件、レストランやコンサート会場で楽しんでいる人々に向かって無差別に銃撃するというぞっとする行為はもちろん理解などできないが、かといって私はテロに断固立ち向かうといって、テロ組織であるISを壊滅させるためにシリアへの空爆を始めたフランスのことも理解はできないのである。それは、東京大空襲で焼夷弾の雨を降らせて一夜にして10万人を焼き尽くしたり、二つの新型爆弾を広島と長崎に投下して数10万人の市民の命を奪ったアメリカのことを決して理解しないのと同じである。テロ組織も空爆をする国家も、そこに人間が生きているという現実を一切直視することはなく、憎悪が憎悪を生んで人殺しを正当化しているのであって、私はどちらも正当なものとは認めない。 

 そして、卵が先が鶏が先かというように、テロが先か支配(差別・搾取)が先かと問うならば、支配が先であることは明白だ。だから、テロをなくすためにやるべきことは一つしかない。テロリストへの攻撃ではなく、支配をやめることしかないのだ。せっかく日本国憲法に戦争・武力の放棄というすばらしい理念が語られながら、安保法制やら集団的自衛権やらで普通の国のようになろうと武力を持ち軍備増強しようとしているる日本も、このままでは必ずやテロの標的になる日が来ることは避けられないであろう。

 テロリストが社会にとって恐ろしい癌となりつつあることは間違いがないが、人間が癌を治す方法も全く同じなのである。癌細胞を攻撃するのではなく、生活や環境を健全なものにして癌細胞を増殖させている原因を取り除かない限り、決して癌は治らず再発するのである。

 このまま癌にむしばまれて行く日本を見てはいられない。平和を実現するためにこそ、「農民芸術学校」を作らねばならないと、ますます思うのである。平和を作る=支配をやめるためには、どうしたらよいか。そのために一番よいことは、自ら土を耕すことであると信じている。そうでなければ、人から奪って生きることになるから。

 かつては、奴隷労働や封建制(身分制度)というものが支配の道具であったが、現代では貨幣経済・自由主義経済が、その支配・搾取の道具となっているのである。だから私はTPPにもマイナンバー制度にも反対する。

 芸術など、一体何の役に立つのか? それは芸術が言葉を超越して、人々の心に訴えかけるすばらしい道具だからである。差別や偏見が支配を生むとしたら、芸術はそれをとり除く、平和にとって極めて有効な手段となり得る。しかし、芸術が職業であれば、やはりそれは経済原理の限界を超えることができない。だからこそ、農民芸術というものに意味があるのだ。


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