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「銀河鉄道の夜」に流れるクラーク精神

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NHKEテレ1 2019年2月9日(土)午後11時00分~ 午前0時00分 
ETV特集「宮沢賢治 銀河への旅~慟哭(どうこく)の愛と祈り~」 
https://www.dailymotion.com/video/x724wh8
宮沢賢治には、生涯をかけて愛した男性がいた。「銀河鉄道の夜」などの作品に思わぬ背景があった。残された手紙やノートを読み解き、新たな宮沢賢治像を浮き彫りにする。 

テレビは見逃していましたが、動画で全部観られました。すばらしい力作です。宮沢賢治と盛岡高等農林(現在の岩手大学)の同じ寮で暮らした山梨出身の保坂嘉内という人物が、宮沢賢治の無二の親友であったことは知っていましたが、親友というよりは恋愛の対象であったということがよく分かりました。宮沢賢治の謎の部分が少し解けました。賢治の代表作「銀河鉄道の夜」にも、多くの謎の部分がありましたが、ジョバンニがケンタウルスであり賢治であり、カムパネルラが土星であり嘉内であり、嘉内との「恋」に破れ、ケンタウルス座と土星が水平線近くで出会うのを久慈海岸に見に行った1月6日の夜が、ケンタウル祭の日であったということが、この動画から推察されます。

この動画の最初の方で、保坂嘉内が信奉していたトルストイの「百姓たれ」という思想に賢治も強く影響を受けたことを紹介していますが、嘉内が甲府中学出身ということで、ピンと来て調べてみましたが、彼が甲府中学に入学した当時の校長は、やはり札幌農学校1期生(東京帝大より1年早く日本で最初の大学生となった16名)の大島正健でした。1年ほどしか日本にいなかったクラーク博士より直接薫陶を受けたのは1期生のみで、この1期生はクラークに強い感化を受けて全員クリスチャンとなり、大島はこのクラーク精神を甲府中学(現在の甲府一高、私の妹の母校!)の学生に熱心に伝えました。大島を通じてクラーク精神を受け継いだ政治家に、戦後すぐ首相となり病気のため2か月ほどで退陣した石橋湛山がいますが、保坂嘉内も大島正健を通じてクラーク精神を間違いなく受け継いでいたであろうと確信します。
以前にも書きましたが、クラーク精神というものを簡単にまとめると、次の2つの柱になります。賢治の思想にも、嘉内を通じてクラーク精神が引き継がれていると感じます。石橋湛山は自民党初の首相でしたが、今の自民党の政治家には、この精神のかけらもありません・・・
1.高邁なる志 lofty ambition
 私利私欲でなく、正義と博愛の精神に基づいた理想の追求。弱者の側に立つ利他主義。
2.紳士たれ Be gentleman
 自主・独立の精神をもった個の確立。自制、自律、責任を持った行動、質素、清貧をよしとする。国際的な視野で、多様性を重んじる寛容の精神。

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