Quantcast
Channel: 農民芸術学校ブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 407

農民芸術学校一日コース「冬」2012年度第3回

$
0
0
2月23日(土)13:30~ 北海道立道民活動センターかでる2・7にあるアイヌ総合センターにて、昨年夏から開催してきた農民芸術学校一日体験コースの第3回目を開講いたしました。

今回は、農閑期にやれる手仕事について学ぼうということで、アイ
ヌ総合センター学芸員の津田命子(つだのぶこ)さんから、アイヌの編袋(サラニプ)の作り方を習いました。津田さんはここの学芸員となり20年、子どもの頃はアイヌということでいじめられたりもしたそうです
が、48年前に教育大に入学した時にアイヌで大学イメージ 1に進学したのは3名だけだったそうです。結婚後にアイヌの文化を伝承しようと道内各地のフチ(おばあさん)から手仕事を習い、途絶えてしまっていた刺繍の技術などは実物を研究することで方法を復活させました。
→ http://www.frpac.or.jp/rst/sem/sem1906.pdf
得意の図解を生かしてたくさんの本
を出版していますが、今後はビデオ映像で技術を残すことと、博士論文にも取り組んでいるとのことです。

アイヌ総合センターの保存実習室。札幌の都心で、アイヌの手仕事を学ぶことができます。隣には貴重な民族資料も自由に見学できる資料室があり、小学生がたくさん見学に来ていました。
イメージ 2イメージ 4












「かでる」は、道庁のすぐそばにありますが、7階にあるアイヌ総合センターの保存実習室は、北大植物園に面していて大変景色がよいです。この植物園は、明治初期の開拓使が札幌に置かれる前の状態を保っています。
20年前までは、こちら方面にはほとんど高いビルはありませんでしたが、今は高層ホテルや高層マンションが随分建ち、円山(アイヌ語ではモイワヌプリ)、藻岩山、大倉山方面は、山がほとんど見えなくなってしまいました。標高1000mクラスの手稲山はかろうじてビルの向こうに見えています。

イメージ 5津田さんは、ここで色々な講座を開いていますが、刺繍の講座は人気が高く人数を制限しないといけないくらいだということですが、サラニプの講習は十数年ぶりだそうです。最後の在庫だという手撚りの棕櫚紐(津田さん右手)を使わせてもらいました。ホームセンターで売っている機械撚りの棕櫚紐(津田さん左手)のものより柔らかいことを触って確かめました。

イメージ 6



糸玉(カタク)の飛び出ている部分(チエイヘ=男の子だ
けにあるあの部分)から糸を引き出します。


イメージ 7




下げ手を作るために2本の糸を撚ります。女撚り(Z撚り)は
右手を下にして2本同時に時計周りに撚りながら、2本の糸を反時計周りにねじり合わせて行きます。
機械撚りのものはS撚りになっています。縄は男撚りでS撚りだそうです。

イメージ 8

 霧吹きで棕櫚糸を柔らかくして縦糸(6本+12本)と、横糸(2つ折りにして両端をそれぞれ巻き取り、少しずつ繰り出せるように真ん中を二巻きして結ぶ)の準備をします。

イメージ 9
まず、12本の縦糸を4本ずつ束にして横糸を編み込み、
裏返してさらに編み1周します。


イメージ 10
真ん中を三つ編みにした6本の縦糸を直角に組んで釣り紐で吊って、横糸で2本ずつ一周編んだら、3周目からは、1本ずつひたすら編んで行きます。

イメージ 11縦糸の端は折り返して編み込み、3時間半ほどかかって、やっと小型のサラニプが完成しました。糸を長くして本数を増やせば色々な形のものが作れます。イラクサ、ガマ、ススキなど色々なもので作れます。天然発酵させたオヒョウなどの樹皮は、木綿や麻など草の繊維とは違って何百年たっても虫に食われないそうです。ツルウメモドキの蔓の繊維は丈夫だし発酵させなくてよいので簡単そうです。ただし1年目の弦を今頃の時期に採らないとダメだそうです。家のそばにあるので、今度挑戦してみましょう。

イメージ 3








このあと皆で「えこふぁーむ」のブドウジュースを飲み、
別室に移ってお弁当をいただいてから、私の「農民芸術学校」についてのレクチャーと、今後の活動についての意見交換をしました。




2013年度の一日コースは、ゴールデンウィーク明けの露地野菜の種まきから始めたいと思います。詳細が決まりましたら、またご案内いたします。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 407

Trending Articles