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「聖書と農業」講演会で講演&ヴァイオリン演奏

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昨日、札幌にある北海道クリスチャンセンターにて、日本キリスト教団道北センター(名寄市)主催の第11回「聖書と農業」講演会で講師として招かれ、「農民芸術の創造~神と土と人を愛する」と題して、「農民芸術学校」の計画について語り、板谷知子さんのピアノ伴奏でヴァイオリンを演奏。その後、昨年2月の北海道農民管弦楽団のデンマーク演奏旅行のDVD(約25分に編集)を見ていただいた。イメージ 1
 
道北センター(名寄市)というのは、日本キリスト教団の農村伝道の拠点として全国に数多く設けられた農村センターの一つであるが、現在では全国でも北海道のここと、福島県など数箇所しか残っていない。日本基督(キリスト)教団は戦前に国策によって多数のプロテスタント教派が合同してできたもので、私の所属する聖公会(英国国教会系)だけはこれに加わらなかったが、戦後にバプテスト系やルーテル派などが再び分離したもののメソジストや長老派などを中心に幅広いミッションを起源にもつ教派がそのまま残ったものであり、北海道には64の教会がある。東京には日本基督教団に所属する農村伝道神学校という牧師養成機関があり、これがカナダ合同教会の援助でできた学校であることから、道北センターにはカナダ合同教会から派遣されて在日40年になるロブ・ウィットマー牧師と、農伝出身の藤吉求理子氏が牧師を務め様々な活動をされている。この講演会もその1つで、名寄はもちろん旭川などでも開催し、札幌で開催するのは3回目とのこと。また酪農学園大学の故樋浦学長が始めた三愛塾運動を引継ぎ、道北三愛塾というものも毎年開催している。
 
 今回、私は現在世話人会を立ち上げて開校に向けてNPO法人化を目指している「農民芸術学校」の構想についての話をさせていただいた。この学校を今こそ創ろうというのは、閉塞する現代社会において自給的農業により新たな未来を切り拓くことが必要とされていると考え、そのような自立した農民が芸術をすることによって人間として最も豊かな暮らしを実現することができると考えているからこそなのだが、実際には宮沢賢治の「農民芸術概論」にインスパイアーされたものでもある。宮沢賢治の創ろうとした「農民オーケストラ」を現代の北海道で蘇らせようとしたものが「北海道農民管弦楽団」であったのだし、宮澤賢治が花巻農学校をやめて百姓となって農民たちに様々な講義をしたり音楽の練習をしたりした「羅須地人協会」のことを、そこに通った若い農民たちは「農民芸術学校」と呼んでいたのである。宮沢賢治はキリスト教にもシンパシーを持ちながら、自らは熱心な法華経の信者となったが、私個人にとっては、キリスト教・農業・音楽(芸術)この3つが分かちがたいものとしてある。これは「神と土と人を愛する」三愛精神として説明できる。これはデンマークのグルントヴィとコルが興したフォルケホイスコーレの精神であり、このフォルケホイスコーレをモデルにして、宮沢賢治が「農民芸術概論」を講義した花巻国民高等学校も、黒澤酉蔵が創設した酪農学園も誕生したのである。
神が土(アース=地球)を創り、神が土(アダマー)から人(アダム)を創り、人は土から生まれて土に還る。私に言わせれば、原子力は神が地球を創った行為に対する反逆であるし、遺伝子組み換えは神が生命を創造した行為に対する反逆である。人は土から離れては生きてはいけないし、まして神に逆らって生きていくことなどできはしない。福島の事故は、そのことを多くの人に気付かせてくれたのである。人間の浅はかな知恵で、そのような危険なテクノロジーを濫用すべきではない。それでもまだ、原子力発電を推進しようなどという人間がいる。人間がおごり高ぶるとき、そこには破滅しかない。それを止めるのは宗教者の役目でもあるだろう。とまあ、こんなことを言いたかったのだが、何をしゃべったか余り覚えていない。(最近ちょっとボケてきたのかなあ・・・いや昔からか)
 イメージ 2
演奏はなごやかに、お客さんとの距離も近く、いい感じでした。プログラムは以下の通り。
1.ラフ/カヴァティーナ
2.チャイコフスキー/カンツォネッタ
3.ポルディーニ~クライスラー/踊る人形
4.ショパン~ミルシュタイン/ノクターン遺作
5.クライスラー/中国の太鼓
アンコール マルシッチ/ファシネーション(魅惑のワルツ)
 
昨年は農民オケで、三愛主義の原点であるデンマークに酪農学園の仲間たちも一緒に演奏旅行に行き、グルントヴィ教会も訪ねたが、来年の農民オーケストラは花巻市民文化会館で演奏することになった。来年は、宮沢賢治没後80周年。このホールは現在、花巻農業高校の敷地に移転した「羅須地人協会」が元々あったところに建っている。つまり、宮沢賢治が、日本で最初に農民オーケストラを創ろうと練習を始めたまさにその場所で、現代に蘇った農民オーケストラが初めて演奏しようということなのだ。
 曲目は、おそらくベートーヴェンの田園交響曲になるだろう。セロ引きのゴーシュが「金星合奏団」で一生懸命に練習した「第六交響曲」である。そして昨年の東日本大震災で被災した子どもたちのためにと、アジア各国から子どもたちのためにヴァイオリンやチェロが寄贈されて「金星少年少女オーケストラ」が花巻に誕生し、その第1回演奏会が東日本大震災からちょうど1年目の3月11日に開催される。北海道農民管弦楽団からも私を含め5名が応援にかけつける。そして来年の花巻演奏会では、新たに誕生する「東北農民管弦楽団」とのジョイント演奏会ということにもなりそうだ。もう東北各県から十数名の参加希望者が集まりつつあるようだ。楽しみ楽しみ!

 

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