6月8~9日、余市から函館まで片道約230kmを軽トラックで往復し、脱原発の国際交流集会に参加した。これは、私もメンバーになっているCNFE(=原発体制を問うキリスト者ネットワーク、昨年の福島原発事故をきっかけに誕生)が今年1月に横浜で開催された脱原発世界会議で共同声明を発表した韓国の脱原発グループなども招き、6月8日の大間原発建設差止め訴訟公判に合わせて下北核半島(六ヶ所村核燃料サイクル施設、東通原発、大間原発、むつ中間貯蔵施設など)のスタディツアーを6月5日~9日のスケジュールで企画したうち、最終2日間の函館でのプログラムだけに参加したもの。私は、泊原発における闘いの報告を2日間にわたりプレゼンテーションした。他には、浜岡原発の反対運動の先頭に立ってきた内藤信吾さん(福音ルーテル教会牧師)や、玄海原発裁判の会事務局長の於保泰正さん、WCC(世界キリスト教協議会)核問題担当のジョナサン・フレリックスさん(スイス)、韓国キリスト教協議会正義平和局長のイ・フンサムさんなど、日本や世界の各地から脱原発運動の先頭に立っている人たち50名ほどが参加して、9日の午後には函館の脱原発グループの市民など100名以上で、千代田公園から五稜郭公園にかけての繁華街でデモ行進も行った。
まず8日は、ハウスを開けたり水遣りをしたりちょっとだけ農作業をしてから、余市を8時過ぎに出発。余市から函館までは、国道5号線で1本。途中、ニセコで道の駅により、脱原発運動仲間であるAさんに会い、「チェルノブイリ・ハート」上映会の残務で、いくつかのものを渡したり受け取ったり、ついでに週末は全道一ごったがえすほど人気の直売所で安く売っていた野菜苗を何鉢か購入。Aさん一家は有島武郎が農地解放したことで有名なニセコ町有島の農地を借りて暮らしている。
5号線で太平洋側に出る黒松内からは、函館の近くの森まで延びた高速に乗れば早いのだが、お金がないので、無料区間の黒松内道路だけ試しに乗ってみたが、片側1車線の対面通行の1区間で対向車ゼロ!
函館に到着して、ご当地ハンバーガーで有名なラッキーピエロを見つけて昼食。カレーやスパゲッティもあり、カレーが2割引のサービスデーだったのでカツカレーをいただく。その後、集会まで1時間ほど余裕があったので、元町周辺を軽トラでうろちょろ散策。
←1階が和
風、2回が洋風の函館様式の民家。元町周辺にこういう家が多い。
→函館山の中腹にあるハリストス(ギリシャ語でキリスト)正教会(ロシア正教)。隣にカトリック教会と聖公会(英国教会)、少し下ると日本キリスト教団などプロテスタントの教会もいくつかある。
3時から、湯の川カトリック教会にて、各地の脱原発運動の交流会が開催。湯の川カトリック教会は有名な元町カトリック教会のように建物は立派ではないが、中にはパイプオルガンも備えられ、カトリックらしくキリストの磔られた十字架やマリア像のほか、キリストの受難までを描いた「十字架の道行」の木彫画が壁面に飾られている。
交流会では、まずスイスから来たWCC核軍縮担当のフレリクス・ジョナサンさん(アメリカ国籍)がアピール。原子力は生命と相容れず、生命を与えてくれた神に対する反逆であるとことを福島の事故で改めて認識し、このツアーのためにわざわざ来日してくれた。通訳は、函館ラ・サール高校教師でブルーベリー農園も経営しているピーター・ハウレットさん(カナダ出身)。南北海道自然エネルギー・プロジェクト代表も務め、2004年の農民オケ函館公演の時には宣伝にも協力いただいた。ハウレットさんの日本語は並の日本人よりうまい。次にNCCKのイ(李)・フンナムさん。通訳はユウ(柳)さん。ユウさんの日本語はちょっと完璧ではなく、CNFE共同代表で在日の崔(チェ)勝久さんが時々助け舟を出す。韓国は稼動中の原発21基、建設中7基、計画中4基で、輸出にも積極的。面積あたりの原発数では日本を抜いて世界一。すべて東海(日本海)に面しており、ひとたび事故が起きれば日本にも大変な影響を及ぼす。中国も稼動中は16基だが、建設中27基で計画は51基も。欧米が原発から撤退しつつあるのに、東アジアに世界の原発が集中しつつある。放射能に国境はないのだから、国際連帯が不可欠。韓国のイ・ミョンバク大統領は福島以降も原発推進まっしぐらだが、ソウル市長は環境派で脱原発を主張。今年11月の大統領選が注目される。チェルノブイリ事故では韓国で余り関心が高まらなかったが、フクシマではさすがに原発に対する関心が高まりつつある。
それから、日本各地の運動の紹介ということで、まず私が泊原発の反対運動がどのようになされてきたかを簡単に説明。フクシマ以降は市民グループが手を結び、泊原発のある後志地方や北海道全域の様々な団体が協力して色々な活動を進めてきていることを紹介した。次に玄海原発プルサーマル裁判の会事務局長の於保さんが、日本で最初にプルサーマル発電を導入した(2009年)玄海原発に反対する闘争(導入が表明された2004年から裁判だけなく座談会などの運動に力を注ぎ、昨年は住民説明会を国に要求して開催されたが、やらせメール発覚で再稼動を阻止した)を続けてきたことの報告。玄海1号機は世界で稼動している原発の中でも最も古いものの一つで、圧力容器が非常にもろくなっているとのこと。次に、浜岡原発の反対運動をずっと行ってきた内藤牧師が、世界で最も危ないところに立地している浜岡原発(そういう理由で管前首相が稼動を停止させたが、野田政権は再稼動を準備)が、いかに危険な原発であるかということを様々なデータで詳しく説明し、さらには原発の本当の目的が核兵器であること、アメリカが日本に原発を輸出してきたのは原爆製造の経済的負担を減らすためであって、現在では日本に核兵器を作ることを許し、そのために憲法も変えさせようとしているということなどを説明した。このような問題に沈黙する教会やクリスチャンの姿勢に対しても厳しく批判している。出席した元NCC(日本キリスト教協議会)総幹事の東海林勤牧師は、この原子力問題は完全に覇権主義(ヘゲモニー)の問題であると語った。確かに、自民党だけでなく民主党政権になっても、野田首相があれだけ論理も道理もなく原発再稼動をしようとするのは、巨大な権力(ヘゲモニー=サタンと言ってもいいかも!)による圧力が働いているからとしか言いようがない。来年10月には、WCC(世界150カ国のカトリック、プロテスタント諸教派が加盟)が7年ごとに開く世界会議が韓国の釜山で行われ、そこで正義と平和の問題がテーマとされ原子力に対する教会の姿勢もはっきり打ち出されるであろうとのこと。
夜は、函館湯の川温泉でも老舗の啄木亭で宴会食。元JTB社員のYさんの尽力で安く宿泊できた。まず、参加した韓国YMCA,YWCAの皆さんによる振り付けのある歌。それから、原子力問題が差別や植民地主義と同根の問題であるとの認識を、在日で就職差別され裁判を日韓市民の連帯で勝利し日立に41年定年まで勤め上げた朴鐘蹟さんが挨拶。そして当日行われた大間裁判公判の報告を、弁護団長の河合弁護士。完成すれば138万kwという日本一巨大で、フルMOX燃料という非常に危険で世界にも例のない原発を、大間という場所に作ることの問題を、裁判では指摘して来たが、それに対するまともな反論は一つもない。フクシマ以降は裁判官の意識も変わっているはずだし、何としても建設を中止させる。脱原発弁護士団を、国内で300名以上組織し、現在日本の全ての原発で裁判が行われているか準備中となっている。また巨大な大間原発の敷地内にあった農地を守るため、小さな小屋を自らの手で立て、地元では孤立無援で闘ってきた「あさこハウス」の2代目小笠原厚子さんの娘ななさんから、おばあちゃんの遺志を受け継ぐとのとつとつとした表明。私は、酪農学園大学から参加した藤井ゼミの学生らと、しばし談笑。昨年から何度か会っている松田君は、農業と福祉を融合させた働きをして行きたいとのこと。そして2次会は、事務局メンバーの泊まる大部屋で、翌日のデモのプラカード作りをした。
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ジョナサンさんは、世界がフクシマ以降日本の
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昼は、千歳教会のマレーシア人夫妻による、地元有機農産物だけで作ったマレーシアカレーと生春巻、鶏肉サラダをご馳走になり、市電に乗って千代台公園に集合し、五稜郭公園まで市民と共にデモ行進。バイバイ大間原発はこだてウォークとして7回目とのこと。100名以上の市民が集まった。厚沢部町のアフリカ太鼓演奏家、山北さんの演奏は、最高だった。
シュプレヒコールの間も、ずっと太鼓をたたいてリズムをとってくれた。
5号線で太平洋側に出る黒松内からは、函館の近くの森まで延びた高速に乗れば早いのだが、お金がないので、無料区間の黒松内道路だけ試しに乗ってみたが、片側1車線の対面通行の1区間で対向車ゼロ!
函館に到着して、ご当地ハンバーガーで有名なラッキーピエロを見つけて昼食。カレーやスパゲッティもあり、カレーが2割引のサービスデーだったのでカツカレーをいただく。その後、集会まで1時間ほど余裕があったので、元町周辺を軽トラでうろちょろ散策。
→函館山の中腹にあるハリストス(ギリシャ語でキリスト)正教会(ロシア正教)。隣にカトリック教会と聖公会(英国教会)、少し下ると日本キリスト教団などプロテスタントの教会もいくつかある。
交流会では、まずスイスから来たWCC核軍縮担当のフレリクス・ジョナサンさん(アメリカ国籍)がアピール。原子力は生命と相容れず、生命を与えてくれた神に対する反逆であるとことを福島の事故で改めて認識し、このツアーのためにわざわざ来日してくれた。通訳は、函館ラ・サール高校教師でブルーベリー農園も経営しているピーター・ハウレットさん(カナダ出身)。南北海道自然エネルギー・プロジェクト代表も務め、2004年の農民オケ函館公演の時には宣伝にも協力いただいた。ハウレットさんの日本語は並の日本人よりうまい。次にNCCKのイ(李)・フンナムさん。通訳はユウ(柳)さん。ユウさんの日本語はちょっと完璧ではなく、CNFE共同代表で在日の崔(チェ)勝久さんが時々助け舟を出す。韓国は稼動中の原発21基、建設中7基、計画中4基で、輸出にも積極的。面積あたりの原発数では日本を抜いて世界一。すべて東海(日本海)に面しており、ひとたび事故が起きれば日本にも大変な影響を及ぼす。中国も稼動中は16基だが、建設中27基で計画は51基も。欧米が原発から撤退しつつあるのに、東アジアに世界の原発が集中しつつある。放射能に国境はないのだから、国際連帯が不可欠。韓国のイ・ミョンバク大統領は福島以降も原発推進まっしぐらだが、ソウル市長は環境派で脱原発を主張。今年11月の大統領選が注目される。チェルノブイリ事故では韓国で余り関心が高まらなかったが、フクシマではさすがに原発に対する関心が高まりつつある。
それから、日本各地の運動の紹介ということで、まず私が泊原発の反対運動がどのようになされてきたかを簡単に説明。フクシマ以降は市民グループが手を結び、泊原発のある後志地方や北海道全域の様々な団体が協力して色々な活動を進めてきていることを紹介した。次に玄海原発プルサーマル裁判の会事務局長の於保さんが、日本で最初にプルサーマル発電を導入した(2009年)玄海原発に反対する闘争(導入が表明された2004年から裁判だけなく座談会などの運動に力を注ぎ、昨年は住民説明会を国に要求して開催されたが、やらせメール発覚で再稼動を阻止した)を続けてきたことの報告。玄海1号機は世界で稼動している原発の中でも最も古いものの一つで、圧力容器が非常にもろくなっているとのこと。次に、浜岡原発の反対運動をずっと行ってきた内藤牧師が、世界で最も危ないところに立地している浜岡原発(そういう理由で管前首相が稼動を停止させたが、野田政権は再稼動を準備)が、いかに危険な原発であるかということを様々なデータで詳しく説明し、さらには原発の本当の目的が核兵器であること、アメリカが日本に原発を輸出してきたのは原爆製造の経済的負担を減らすためであって、現在では日本に核兵器を作ることを許し、そのために憲法も変えさせようとしているということなどを説明した。このような問題に沈黙する教会やクリスチャンの姿勢に対しても厳しく批判している。出席した元NCC(日本キリスト教協議会)総幹事の東海林勤牧師は、この原子力問題は完全に覇権主義(ヘゲモニー)の問題であると語った。確かに、自民党だけでなく民主党政権になっても、野田首相があれだけ論理も道理もなく原発再稼動をしようとするのは、巨大な権力(ヘゲモニー=サタンと言ってもいいかも!)による圧力が働いているからとしか言いようがない。来年10月には、WCC(世界150カ国のカトリック、プロテスタント諸教派が加盟)が7年ごとに開く世界会議が韓国の釜山で行われ、そこで正義と平和の問題がテーマとされ原子力に対する教会の姿勢もはっきり打ち出されるであろうとのこと。
↑神戸から参加した「みどりの未来」スタッフの松本さんは、カラフルな傘にペイント。
→私は、野田首相が「原発再稼動は国民生活を守るために必要だ」と「停電したら大変なことになる」というような脅し文句を並べつつ表明したTVニュースを苦々しく聞きながら、こんなのを書きました。
夜中の1時過ぎ、やっと温泉につかった。
翌日9日は朝食バイキングをいただいてから、函館千歳教会へ。ここでは函館市民や一般の人も対象に、また前日のようなプレゼンテーションを、私も含めて行った。大間原発訴訟の会では、9月末、12月末の公判に向けて、さらに原告の人数を増やしたいとのこと。そして、少しリラックスタイムで函館在住の世界的なチェンバリスト森洋子さんによるパイプオルガン演奏も聴いた。曲は、オランダの作曲家(名前は失念)によるファンタジア・クロマティカ(半音階旋律による幻想曲)。その後、マスコミ対象の記者会見および共同宣言の発表。この共同宣言は、今回のツアーの経験を基にして前夜から当日の朝までかかって日韓共同で作成されたもの。また改めて紹介したい。
原発がどうなるかを注視していることを訴えた。この横断幕に描かれた8つの国旗の絵柄が入った人型は、世界の原発所有の上位8カ国。泊原発が止まったニュースをWCCの会議中だったジョナサンさんはTVの画面で見て、歓声を上げたとのこと。これからの日本がどのように脱原発していくのか、世界が注目しているのだ。核兵器と原子力発電は一体のものであり、史上最悪の地球環境汚染。世界のどこにも、これ以上原発を作らせず、一日も早く原発のない世界を実現しなければならないことを訴えた。
原子力は、ウランを掘り出すところから、運転、点検、事故、廃棄物の処理、どの段階でも被爆者を生み出す。そして、将来何万年も先の人間に対しても、全ての生命に対しても猛毒を出し続ける暴挙である。原子力は、ウソばかりで推進されてきた・・・「原子力は平和利用できる。エネルギー源として重要なものである。地域の経済を発展させる。燃料はリサイクルできる。コストが安い。地球温暖化を防ぎ、クリーンである。高度のハイテク技術であり、何重にも安全を保障している。・・・」と。
フクシマの事故で、全てウソであることがバレた。スイスはフクシマ事故により、10~15年で原発をなくすことを決めた。ドイツも15~20年以内になくすことを決め
た。重大な事故を起こした日本は、まだ何も決めていない。
ハウレットさんのおやじギャグの効いたシュプレヒコールも最高。「大間原発大間違い! 泊原発止まってなさい! 浜岡原発地震の真上! 玄海原発もう限界! 大間原発Oh My God! 大間原発作るなよ! 大間原発大間違い! そもそも原子力大間違い! 最初から最後まで大間違い! 大井原発再稼動No! NoNoNoNo放射能No! GoGoGoGo風力Go! GoGoGoGo太陽光Go!」 締めの言葉は、「エネルギー・シフト!」
最後に、CNFE共同代表チェさんの挨拶で解散。