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基督教独立学園高等学校&小国フォルケホイスコーレ(2005年3月)

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内村鑑三の無教会派キリスト教の流れを汲む学校が日本に3つある、山形県小国町のキリスト教独立学園高校、島根県江津市のキリスト教愛信高校、そして三重県伊賀市の愛農学園農業高校である。いずれも1学年30人程度の小さな全寮制高校であり、前2者は普通科であるが、広い農園を持ち水田部・園芸部・酪農部などがあり食料はほぼ自給、製パン部もあり薪でパンを焼き、炊事も生徒が交代で行うという徹底ぶり。愛農高校は、日本で唯一有機農業が必修であり、一般市民向けの就農支援講座もある。
 
 さて、私は2005年3月に、農民芸術学校の参考にイメージ 3するため山形県小国町の独立学園高校と小国フォルケホイスコーレを訪問した。当時まだブログを始めていなかったので、7年ぶりに訪問記を書いてみる。
  小国フォルケホイスコーレは、元独立学園高校の教師だった武祐一郎さんが始めたフルースクールで、武さんは桐朋音大作曲科に学んだ後、埼玉の自由の森学園高校創設に加わり音楽教師を務めた後、愛農学園高校、岐阜で障害者と共にハム・ソーセージを作っているゴーバルという共同体を経て、独立学園高校で音楽教師を務め、その後ノルウェーにある唯一の音楽専門フォルケ・ホイスコーレで2年間スタッフとして暮らした経歴の持ち主。奥さんも、宮城県にあるニューライフカレッジというフリースクールのスタッフだった方。
  まず、1日目は小国フォルケホイスコーレでお世話になり、ちょうど地域の子どもたちを集めたコンサートで、伴奏を武さんにお願いしてヴァイオリン独奏もさせていただき、歌の伴奏にオブリガートをつけたりして楽しい時を過ごし1泊。この時点で生徒は2名だけ。独立学園も、80年前に高校になる以前、創設者の鈴木弼美が農家の納屋で学校を始めた時の生徒は2名だったらしい。
イメージ 1イメージ 2 
 2日目は、独立学園をじっくり見学。ここは、内村鑑三が西欧文明に毒されていない地として、本物のキリスト教を伝えたいと選んだ場所であり、内村の弟子で東大物理学科を卒業した鈴木弼美が開拓伝道に入り、デンマークのフォルケ・ホイスコーレを高く評価していた内村の影響によってこの学校が作られた。内村の唱えた絶対平和主義を太平洋戦争中も貫いた鈴木は、敗戦直前の約1年間、治安維持法違反で獄中にいたが、戦後間もなく山形県知事の尽力により文部省認可の新制高校として再スタートした。「読むべきものは聖書、学ぶべきものは天然、なすべきことは労働」という内村鑑三の言葉に基づき、受験教育を一切否定し、食事はほとんど自給し、炊事も交代で協力する。ハム・ソーセージなども作り、パンも薪の窯で焼く。質素でノーブルなものを求め、寮生活においては、マンガ雑誌、携帯電話、コンピューターゲーム、エレキギター等は禁止。授業は通常の普通科過程の科目の他に、聖書学や平和学、森林学などがあり、合唱など音楽にも力を入れる。韓国のプルム農業高校とは姉妹校でハングルも学ぶ。2・11は休日とせず、建国記念の日に反対し天皇制などについて学ぶ日としている。  


 教頭の鈴木先生(新年度から校長とイメージ 4のこと)と懇談後、パイプオルガンのある講堂などを見せてもらい、教頭先生の担当する3年生の選択科目キリスト教研究の授業に参加。生徒に自己紹介をしてもらったが、授業に参加していた12名ほどの生徒の約半分が農家出身、北海道出身者も2名、道内の大学に進学が決まっている者もいた。卒業生の大半は推薦などで大学に進学している。
 

 そ の後、授業のイメージ 5なかった後藤先生(新年度から教頭)に牛小屋、男子寮、図書館(キリスト教、特に無教会派関係の書籍は膨大で、3階建ての書庫にびっしり貴重な文献が揃う)、50年記念館などを案内してもらい、日本におけるキリスト教による農業共同体などの話をする。山形では東根市関山で内山の弟子らがブドウ園を経営、関東の大輪にはフッタライトの農業共同体、北海道の長沼にはメノナイトの農業共同体があるという話(メノビレッジのことでしょう)。フッタライトもメノナイトも現在アメリカで中世そのままの自給生活をしているアーミッシュと近い宗派で、兵役免除される歴史的平和教会といわれる絶対的平和主義の宗派、日本の無教会派も歴史的平和教会と言えるだろう。その無教会派から超右翼の「キリストの幕屋」が誕生しているのは皮肉であるが。そういえばカトリックもトラピスト修道会などが農業で暮らしているが、生涯独身でなければならないので共同体とは呼べない。

イメージ 6イメージ 7

 昼 食は、食堂に集って生徒、先生皆で一緒にいただき、助川校長とも話をする。校長は、私と同じ北大農学部農学科の果樹蔬菜園芸学講座の大先輩。内村鑑三は北大農学部の前身である札幌農学校の2期生だから、これも何かの因縁だろう。食事の席で、北見から来ている2年生の千葉さん(お母さんが「えこふぁーむ」のお得意様)のヴァイオリンを借りて、「ユーモレスク」を演奏し、自己紹介もさせてもらう。
 
イメージ 8 独立学園を見学後は、JRを乗り継いで東京杉並区の妹宅を訪問、妹が通っている日本聖公会の阿佐ヶ谷聖ペテロ教会も訪問し、牧師であり私が学生時代に5年間暮らした札幌の聖ミカエル青年寮で一番仲が良かった先輩の高橋顕さんと再会、翌日やはりミカエル寮で後輩だった岡村光君がスタッフとして勤めている江東区にある特設老人ホームの深川愛の園を妹と訪問して、妹にピアノ伴奏をしてもらい、ヴァイオリンコンサートを行った。イメージ 9
 


 

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